不動産投資をするにはいくら必要だと思いますか。不動産の種類によって大きく異なりますが、初心者でも手を出しやすい「築古区分ワンルーム」なら、300~500万円で済む場合も多いです。
不動産を購入する際にかかる諸費用(仲介手数料や登録免許税など)から、自己資金をどのように貯めていけばよいかなど具体的な事例を交えながら解説します。
この記事を読めば、不動産投資をしたいけどどのくらい資金を貯めれば良いか分からない方が、不動産投資に向けて自己資金を貯める方法がわかります。
初心者の方でもわかりやすいように説明していきますので、ステップを踏みながら学んでいきましょう!
自己資金の目安|300万円〜500万円
前提として、投資するエリアは人口が増加傾向にある首都圏(東京、神奈川、大阪など)に限ります。
なぜかというと、首都圏では表面利回りは5〜7%と低いですが再現性が高く、初心者には失敗しにくいです。ただし、物件の種類や築年数など条件があるので、具体的に説明していきます。
区分ワンルームマンション
区分ワンルームマンションの場合、新築や築浅の物件は築年数が経過すると価値が下がっていくので厳禁です。では、どのくらい築年数が経っていると良いのでしょうか。
築年数が30年以上経過している「築古」と呼ばれる年代の物件ならOKです。30年以上経過していると物件価格自体が底値で安定しており、投資の目処が立ちやすいです。
一棟アパート
一棟アパートの場合、立地(エリア)を間違えなければ新築・築浅でも投資は可能です。区分マンションより融資が引きやすいため、自己資金が潤沢にある方は区分マンションを増やしていくよりも、一棟アパートを購入した方が資金増加のスピードは格段に変わります。
立地は、東京23区内はもちろんですが、神奈川県内の川崎市や横浜市などの人口が増加しているエリアが投資対象となります。価格帯だけでなく、将来の投資性も見据えながら物件を選定することが大切です。
物件価格の範囲
- 築古区分ワンルームマンション:1000万円〜2000万円超
- 一棟アパート:6000万円〜2億円
一般的な自己資金の割合
- 築古区分ワンルームマンション:300万円〜500万円
- 一棟アパート:1200万円〜4000万円
最低限必要な自己資金額
投資を始めやすい築古区分ワンルームマンションだと、物件価格が800万円の場合、300万円~350万円あれば投資が可能でしょう。エリアだと横浜市鶴見区では、価格帯800万円の物件が見つかったりします。
ただし、融資が引けないと自己資金だけでは投資ができないので、銀行との相性も大切です。優良な不動産業者であれば、銀行と提携していることもあり、融資が引きやすい場合もあります。
まずは、自己資金を貯めるように倹約しましょう!
不動産投資に必要な初期費用|物件価格の1割
自己資金の前に不動産投資には、物件価格の他に初期費用がかかります。不動産業者へ支払う「仲介手数料」や物件の登記を行う際には「登録免許税」、不動産を取得する際には「不動産免許税」などです。
具体的にどの程度かかるのか見ていきましょう。条件として、1500万円の築古区分ワンルームマンションへ投資した場合だと、諸費用は、約140万円程度かかります。
ざっくりと物件価格の「1割程度」と考えておきましょう。以降で具体的に解説します。
仲介手数料
不動産業者へ支払う仲介手数料は、物件価格帯によって異なります。
200万円以下:物件価格×5%
200万円〜400万円以下:物件価格×4%+2万円
400万円超:物件価格×3%+6万円
1500万円の物件だと、1500万円×3%+6万円=51万円(税抜)56.1万円(税込)
登録免許税
物件の所有権を移転するための「所有権移転登記」は、土地や建物に対しての課税評価額に2%を掛けた金額になります。
課税評価額が500万円だった場合、500万円×2%=10万円
銀行から融資を受ける際には、「抵当権設定登記」もかかります。融資額の0.4%を掛けた金額になります。
融資額が1050万円だった場合、4.2万円
登記の登録には、司法書士の手数料が別途かかります。融資を受ける際には、銀行が指定する司法書士でないといけない場合がありますので、別途費用がかかります。
金額は司法書士によって異なるので、確認が必要です。一般的には、
所有権移転登記:8万円〜10万円
抵当権設定登記(融資に伴うもの):5万円〜7万円
そのため、登録免許税の他に司法書士への手数料が別途15万円〜20万円ほどかかります。今回は、15万円と仮定すると、
所有権移転登記:登録免許税(10万円)、手数料(8万円)
抵当権設定登記:登録免許税(4.2万円)、手数料(7万円)
合計:10万円+8万円+(4.2万円+7万円)×1.1=30.32万円(税込)
約30万円程度見ていた方が良いでしょう。
不動産取得税
不動産所得税については、通常「固定資産税評価額」が課税標準額となります。固定資産税評価額は、一般的に市場価格の約70%程度です。
物件価格が1500万円なら、1500万円×0.7=1050万円です。
その額に対して税率が適用されます。税率は、軽減税率が適用され3%です。期間は、2024年3月までとされていましたが、2025年度(2026年3月末)まで延長されています。
固定資産税評価額が1050万円なら、1050万円×0.03=31.5万円が不動産所得税です。
納税方法
納税通知書が、不動産取得して数ヶ月以内に都道府県税事務所から送られてきます。通常3〜4ヶ月かかるようです。
支払い期限
納税通知書を受け取ってから60日以内に支払う必要があります。
支払い方法
銀行やコンビニ、口座振替、電子納税、一部の自治体ではクレジットカードでの支払いが可能です。
その他の費用
その他の費用として、融資を利用する場合は「銀行事務手続費用」がかかります。費用は銀行によって異なりますが、一般的には「定率型」となる場合が多いです。
事務手続費用が2.2%の場合:融資額1050万円
1050万円×0.022=23.1万円(税込)となります。
自己資金の貯め方|支出を抑えて収入を増やす
単純かもしれませんが、自己資金を確実に貯めていくには、「支出を抑える」と「収入を増やす」この2つが大切です。なかなか資金を貯めることができない方は、以下のことを実践してみてください。
支出を抑える方法
まずは自身の支出を抑えることから始めましょう。毎月かかる「固定費」と「変動費」がいくらくらいか把握します。
その中で、支出の見直しがしやすい「固定費」について詳しくみていきましょう。
通信費の見直し
通信費は、「自宅内の光回線」と「携帯の回線」があります。
光回線だと戸建タイプで平均5000円〜5500円、マンションタイプで平均4000円〜4500円です。
ただし、「アットスマート光」なら、税込で戸建タイプなら4730円、マンションタイプなら3630円です。これで月500円〜1000円安くなります。
年間で6000円〜12,000円削減できます。
携帯のSIM利用料は20GBの場合、大手キャリアだと月額7000円かかります。格安SIMの会社だと2000円〜3000円です。
格安SIMは「通信速度に問題がある」と考えているかもしれませんが、大手キャリア直営の格安SIM会社(ドコモ:ahamo、au:povo、ソフトバンク:Y!モバイル)があります。
どのくらいの速度か知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。通常は、10Mbps以上あれば問題ありません。(記事:格安SIMの速度比較サイト)
大手キャリアを利用している方が格安SIMを利用するだけで、月4000円〜5000円安くなります。年間で、48000円〜60000円削減できるので、大きいですね。
ちなみにもっと安い格安SIMを検討したいなら、「日本通信」がおすすめです。2024年9月から10GB→20GBへ増量され、月額1390円です。
しかも70分電話掛け放題が無料で付いてきます。とてもお得です。少しでも安いSIMを利用したい場合は、検討してみてください。
保険料の見直し
保険料は、必ずと言っていいほど皆さん契約しているのではないでしょうか。その保険何に対しての補償でしょうか。
なんとなく入っているなら、今すぐ解約しましょう。日本人が加入している保険料の平均は約3.2万円/月となっています。(参考リンク)
月々3.2万円、年間約38万円かかっています。それが必要なければ、相当貯蓄に回せるお金が増えます。
では保険に加入しないのなら、どのように備えれば良いのでしょうか。皆さん忘れているかもしれませんが、日本人なら最強の保険に加入しています。
「公的医療保険」です。「聞いたことはあるけど、補償内容はあまりわからない」という方に向けて軽く紹介します。
- 高額療養費制度
- 自己負担額の上限が定められており、上限を超えるとそれ以上は、一定額を支払えば良くなります。
例えば、年収が450万円、50歳の場合
上限額は80,000円+(医療費-267,000円)×1%
仮に月に100万円かかった場合、80,000+(1,000,000-267,000)×1%=87,300円が自己負担額です。
この高額療養費制度を知っていれば、民間保険はほとんど不要です。
- 傷病手当金
- 標準報酬月額がわかれば、1日あたりの傷病手当金の額がわかります。
年収が450万円の場合、450万円÷12=約37.5万円≒標準報酬月額38万円と推定します。
38万円(標準報酬月額)÷30日×2/3=1日あたりの傷病手当金:8,444円です。
傷病手当金は、「非課税所得」であるため、通常給与にかかっている「所得税」「住民税」がかかりません。
それでも万一の場合に備えたい場合は、格安の掛け捨て保険に加入をお勧めします。保険は「FWD収入保障」です。
自身が必要な分だけ掛金をかけましょう。
「通信費」と「保険料」を見直せば、多い方で年間40万円ほど削減できるかもしれません。固定費は、一定額支払うためボディブローのようにじわじわ効いてきます。
早めに対処できれば、資産を多く築くきっかけになるはずです。
効果的な貯金方法
給与をただ単に貯金してもなかなか増えていきません。ここでは、どのようにして貯金するかを解説します。
自動積立の活用
自動積立を行う方法として、会社の「財形貯蓄」です。財形貯蓄なら自動で給与から天引きされるので、振り込まれるのは天引き後のお金です。
財形貯蓄で天引きされるように設定すれば、自ずと貯金は増えていきます。
会社に財形貯蓄がないのであれば、銀行にある機能「定額自動振替サービス」を利用します。「定額自動振替サービス」の機能は、住信SBIネット銀行のサービスです。
この機能を活用すれば、自分の好きなタイミング(毎日、毎週、毎月)や振替する金額を指定することができます。もちろん手数料は無料です。
自動で積み立てる方法で、貯金を増やしていきましょう。すると、いつの間にか貯金は増えているはずです。
目標設定と進捗管理
まずは、貯金したい金額を設定します。目標金額を設定しないと何のために貯金をしているのかわからなくなります。
不動産投資をするなら、購入するのに必要な金額(例:融資を利用するなら300万円)を設定します。また、金額だけでなく時期(いつまで)も設定します。
時期を設定するとだらだらと貯金するのではなく、必要なのはメリハリです。目標と時期を設定することで、集中して貯金をすることができます。
その後は、進捗管理するために設定した金額と貯金を見比べて自分の現在地を把握します。現在地を把握することで、わかるのは進捗状況です。
遅れているのであれば、なぜ遅れているのか分析し対策します。進捗管理を定期的に行い目標金額の貯金を達成しましょう。
収入を増やす方法
収入を増やすためには、「現在の給与を上げる」もしくは、「収入の柱を増やす(副業)」が考えられます。どのように収入を増やすかをみていきましょう。
昇給・転職の検討
給与を上げるためには、所属している会社での「昇給」か今より給料が高い会社へ「転職」の2つです。
「昇給」は、給与をあげてくれる資格を取るか、役職に就くことが例として挙げられます。役職に就くためには、会社によっては社内昇進試験に合格する必要があります。
いずれにせよ時間を作れば問題ないはずです。「別に今のままでいいよ」と思っている方もいるとは思いますが、現状維持では終身雇用制度が崩壊しつつある現代社会に生き残っていけないかもしれません。
「転職」は、転職エージェントを活用します。転職エージェントは、数が多いのでいくつかおすすめを紹介します。
- JACリクルートメント
- ハイクラス・管理職向けに強み。年収600万円以上で非公開求人・独占求人が多い。30代〜40代で転職が気になる方が最初に相談すべきエージェント。年収アップがメインの目的ならまずは利用する価値あり
- 就職カレッジ
- 新卒や在職されていない方の転職エージェント。利用に年齢制限があり、18歳〜35歳までとなっている。キャリアカウンセリングや面接対策など正社員経験のない方もしっかりサポートしてもらえる。
- マイナビエージェント
- 20代もしくは大企業への転職に強いエージェント。首都圏、関西圏、東海圏など大都市在住で20代〜30代の方には圧倒的な強み。特にIT、Web業界に強い。無料のスキルアップ支援も充実。
これらを活用して、収入アップを目指しましょう。
副業の検討
副業は、給与とは別に収入の柱を持つという意味で非常に重要です。国も働き方改革により、副業を後押ししています。
副業を始めたいけど何からすれば良いか迷っている方は、以下の動画を参考にしてください。
副業に取り組んで収入の柱を増やして、資産を増加させていきましょう!
まとめ:まずは300万円〜500万円の自己資金をためて不動産投資を始めよう!
不動産投資には、物件価格の1割程度の初期費用がかかります。投資の自己資金は、区分ワンルームマンションなら300~500万円が目安です。
自己資金を貯めるためには、通信費や保険料などの固定費を見直し、財形貯蓄や定額自動振替などを利用することで、効率的に資金を貯める方法が効果的です。
固定費を見直せば確実に資産は増えていきます。それに加えて副業で収入を得ることができれば、資産が貯まるスピードが劇的に変わります。
ただし、行動しないと何も変わりません。まずは重い腰をあげて行動していきましょう!